一人だけの引退試合

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ガウス

「この試合に負けたら引退しよう」
今日のテーマは、指導者の「覚悟」話です!
私の熱い熱い経験談です。ぜひ、最後までお付き合いください!

目次

一人だけの引退試合

今日の試合に負けたら引退しよう。二度と監督はできない。
誰にも言わず、そう決意して臨んだ昨夏の県大会準々決勝があった。相手はM先生が率いるK中学校。M先生とは、今回で、県大会での3回目の対戦。

県大会の怖さを知った


M先生との、初めての対戦は指導者として7年目。64チームが出場する大会の県大会決勝戦。優勝した方が北信越大会に出場できるという大一番。
私も監督として、初の県大会決勝。前日はとても緊張していたし、優勝したときの監督インタビューの台詞まで考えていた。
「絶対に勝って北信越へ!」と意気込んでいた。
対戦するM先生の率いるチームは野球道を体現する県No1のチーム。野球の技術はもちろん一級品。
さらに、声の迫力、全力疾走から最後の3歩の踏み込み、道具の整然とした並べ方まで、すべて徹底された野球道を実践するチームであった。
県外からもM先生の指導を学びに来る監督もいるほどの指導者だった。
そんな偉大な先生との県大会決勝は2-5で完敗。
初回の私の采配ミスが最後まで影響しての敗戦。

初回の采配ミス

1回表の攻撃。先頭の1番打者は内野安打で出塁。2番打者は送りバント。3番打者はレフト前ヒットで1アウト1,3塁。4番打者は四球で1アウト満塁のビックチャンス!5番打者はボール、ボール、ストライク、ボールのカウント3ボール1ストライク。
そこで、私のサインはスクイズ!しかし、投手が投げたボールはワンバウンドのくそボール。打者はバント空振りで3塁走者は挟殺でタッチアウト!その後5番打者も三振に打ち取られ無得点で終わった。
チャンスのあとにはピンチあり。1回裏の相手の攻撃で2点を先制され、その後は終始、相手ペースで試合が進み敗戦。


選手に申し訳ないという思いで、今でも夢に見るほど悔しい、絶対に忘れられない負けとなった。
結局、M先生のチームが北信越大会でも優勝し、全日本大会に出場した(北信越中学野球部900校の中で1校しか行けない全国大会)

全日本が開催される横浜スタジアム

県大会決勝の敗戦から2年後

それから2年後、再び県大会で対戦するチャンスがやってきた。
今度はリベンジして、北信越に行く!と決意して臨んだ新人生の県大会準決勝。
私の率いるチームも地区を圧倒的な強さで優勝し、今回は全国まで行ける!
そんなチームに仕上げたし、選手も自信に満ちていた。M先生に今度こそ勝てる!絶対に勝つ!
しかし、野球はそんなに甘いものではないし、私の自信は木っ端微塵にくだけちった。
私が自信を持って送り出した選手たちは、ことごとく力負け。
結果0-3完敗。まだまだ監督としての力量の差を痛感したし、M先生の野球道に勝つには・・・。
本当に絶望だった。結局、M先生のチームが北信越準優勝、全中大会出場を決めた。

さらに5年後


それから5年がたった。
この5年間にもう一度、自分の野球観と指導観を振り返った。「私の目指す野球とは!?」
M先生のように野球道も頂点にたどり着く一つの道だと思う。
しかし、同じ道を追究していったのでは絶対に勝てない。
モノマネにしかならないから。自分にしかできない野球観を創る。
自分の野球から創ってきたもの「野球学」。M先生を超えるには、私にしかできない確率論、統計学を駆使して野球学を構築すること。
選手の戦績やデータを分析し、対戦相手との相性を考え、その日のベストな打順、戦術を決定する。
実際に昨年の地区大会と県大会は全試合打順を変えたし、選手起用、守備位置、攻撃のサインも試合ごとに、勝つ確率を上げるものに変化していった。
そして、指導者として14年目の夏。
県大会の準々決勝。3回目のM先生との対戦。
私は自分の頭をフル回転させ戦術を考え、選手のコンディションを把握し、対戦相手のデータ分析をすみずみまで行い、ベストオーダーを決定した。
絶対に勝てるシミュレーションを何回も想定した。
そして最後に、土壇場での自分の勝負勘も磨きをかけた。ついに、私にしかできない野球学の完成である。
このように、自分の最高を創り上げてM先生に対峙した。
「これで勝てなかったら、今後も絶対に勝てない。監督としての成長も終わりだな。負けたら引退しよう」
そう決意して一人だけの引退試合に臨んだ。

この試合に負けたら、監督をやめよう

試合は行き詰まる投手戦。3回まで0-0の膠着状態。試合が動いたのは4回。
我々が1アウト2,3塁のチャンスをつくった。チャンスはここしかない、ここで決めなかったら、もう二度とチャンスは来ない。
研ぎ澄まされた私の勝負勘が決心させる。ここでエンドランだ。
ほとんど緊張はなかった。いたって平常心の中で、決定された作戦。
実にシンプルにサインを出した。選手も(わかりましたと)うなずく。
投手が足をあげる。と同時に走者がスタートを切る。「走った!」相手野手陣の声が上がる!「ストライクボールが来た、打て!」
叩きつけた打球が内野を超える!ライト前にタイムリーヒット!
スタンドからの大歓声!二人の走者が次々とホームベースを踏み、待望の2点を先制。
味方の一塁側スタンドはお祭り騒ぎ!「よう、打った!ナイスバッティング!」拍手が鳴り止まなかった。
このままいけば勝てる!いつもならあっという間に終わる試合だが、まだ5回、まだ6回、早くこのまま終わって欲しい。
勝っているときは、試合が進むのがなんと遅いことか。もう攻撃は、いらないから、勝っているままでゲームセットになって欲しい。

中部日本大会が開催されていたナゴヤドーム

野球は感動的でもあるし残酷的でもある


ついに最終回を迎えた。野球とは本当に残酷なスポーツである。
どんなに努力をしても、勝っていても、たった1球で試合がひっくり返ってしまう。
そんなドラマをたくさん見てきた。我々には、そんなことは起きて欲しくない。
しかし、そのドラマが起きつつあった。1アウトから四球を出し、相手の4番打者を迎えた。
「やばいな」ここで長打が出て、さらに打線がつながり劇的なサヨナラになるドラマ。
こちらにとっては、最悪の結末。
4番打者の2球目。悪い予想が的中。バカーンと打たれた打球は左中間を真っ二つ。タイムリー3塁打で2-1。1点差に迫られた。
四球もからみ、1アウト2,3塁とさらにピンチは広がった。一打サヨナラ負けの大ピンチ!
タイムをとってマウンドに監督も選手も集まる。「ここまできたら全力勝負するだけ!」
全員で声をかけあい、勝利を願った。
しかし、心の奥では「やはりM先生には勝てないのか・・・」そう思ってしまっていた自分がいた。

そんな監督を救ってくれたのは選手のみんなだった。エースの全力投球は、最終回と思わせない剛速球!
気持ちが乗り移ったボールに、相手打者はつまり、6番打者は捕手フライ、7番打者は投手フライと何とか切り抜け、ゲームセット!
2-1で勝利を収めた。
「よっしゃーー!」普段は寡黙な私だが、心の底から雄叫びを上げた。
初めてM先生に勝てた。心の底から嬉しかったし、自分の野球が間違いではなかったと確信した。
これで、野球を続けられる。もっともっと野球ができるし、選手たちに野球の素晴らしさを伝えることができると思うと涙がでてきた。

北信越大会出場!

野球部の快進撃は次戦も続き、準決勝は秋の県チャンピオンチームに、延長9回の激闘を制し1-0で勝利。北信越大会出場を決めた。
M先生はその後、野球界を去ってしまったが、いつかどこかのステージで対戦したいと私は願っている。
だから、私はまだまだ負けられないし辞められない。
自分の野球学をもっと磨いて、もっと上に行けるチームを作っていきたい。

ガウス

今回は、私の監督人生をかけた物語をお送りしました。
野球学は選手を大切にしている上に成り立つ戦術です。
ぜひ、自分の野球観をつくっていってください!
それでは、またお会いしましょう!

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